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光塩基発生剤

WPBG-266

CAS : 1632211-89-2

優れた溶解性

プラスチックをつくる

光でかためる

  • 光照射により、高い量子効率で強塩基であるビグアニド(pKbH=31.8)とラジカルが発生します。
  • 水にも有機溶剤にも溶解します。
  • ゾル-ゲル法の硬化触媒に最適です。
  • 東京理科大学の有光教授と共同開発したPBGです。
1,2-Diisopropyl-3-[Bis(dimethylamino)methylene]guanidium 2-(3-benzoylphenyl)propionateの分子式
化学名 1,2-Diisopropyl-3-[Bis(dimethylamino)methylene]guanidium 2-(3-benzoylphenyl)propionate
CAS RN® 1632211-89-2
分子量 495.67

物性

外 観 形状:粉末
色:白色
融 点 115℃
TG-DTA 191℃にて重量減少開始
溶解性 (g/solv. 100 g)
  • NMP25
  • GBL18
  • PGMEA7
  • アセトン24
  • 乳酸エチル42
  • PGME44
  • メタノール73
  • H2O45
  • Si(OEt)43
  • Me-Si(OMe)33
  • Ph-Si(OMe)36
  • HS-C3H6-Si(OMe)38

UV(0.02 mg/mL in CH3CN)

WPBG-266の吸光スペクトル

極大吸収
240 nm (ε=34000) 254 nm (ε=25400) 365 nm (ε=80)

関連法規・安全性

消防法 非該当
毒物及び劇物取締法 非該当
化審法 告示されていない
安衛法 告示されていない
TSCA Not Listed
EINECS Not Listed
REACH Not Listed

塩基発生機構

UV照射により塩基が生成される様子を示す図

pH試験紙を水溶液に浸し、UVを照射することで塩基性に傾いた事を目視で確認できます。

ゾル-ゲル法について

ゾル-ゲル法とは、アルコキシシランなどの加水分解、重縮合によって金属酸化物を作製する方法です。一般に、塩基を使用した場合、加水分解と重縮合がどちらも迅速に進行することが知られております。

ゾルゲルプロセスがどのように機能するかを示す図

WPBG-266は、3置換のアルコキシシリルを加水分解したシラノール体の硬化に適しています。
4置換アルコキシシリルを加水分解したシラノール体は、ゲル化しやすいため取り扱いに注意が必要です。

使用例1メチル/フェニルシリコーンレジンのアニオンUV硬化

KR-300は、ケイ素上にメチルとフェニル基を有した高温硬化型シラノールポリマーです。WPBG-266を加えて露光することで硬化温度を低下させることが可能です。

WPBGを使用したアニオンUV硬化のプロセスを示す図

条件

配合 WPBG-266 5部、2-イソプロピルアルコール 100部、KR-300(信越化学工業株式会社製)100部を混合します。
製膜 ガラス基板
①スピンコート 500rpm/5秒 → 1000rpm/30秒
②プレべーク 80℃/1分
膜厚約10μm
露光 10秒照射( 面照度 5mW/cm2(254nm)、100mW/cm2(365nm)、261mW/cm2(405nm))
露光後加熱 150℃/5分

結果はカタログをご覧下さい。

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WPBG-266のラジカル発生機構

WPBG-266は、光照射でラジカルを発生するため、塩基とラジカルの2つの異なる活性種を発生させることができます。

WPBG-266のラジカル重合のメカニズムを示す図

WPBG-266とケトプロフェン(光脱炭酸するカルボン酸)を併用した加水分解

各種シランカップリング剤にWPBG-266、ケトプロフェン、水(1.5~3.0当量)を加えることで、pHが弱酸性に傾き室温で加水分解が促進されます。得られたシラノール体は単離せず、そのままUV照射すれば系が塩基性に傾くため、ワンポットで硬化物が作製可能です。

使用例2ラジカル重合とゾル-ゲル法を併用したUV硬化(有機無機ハイブリッド)

ラジカル重合とゾルゲル法を併用したUV硬化プロセスを示す図

条件

配合 WPBG-266 15部、ケトプロフェン 5部、(3-アクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン 245部、水 54部を混合後、均一になるまで室温で攪拌します。
製膜 バーコート後、80℃/1分プレベーク
膜厚 約10~20μm
露光 N2気流下、30秒照射(面照度 5mW/cm2(254nm)、100mW/cm2(365nm)、261mW/cm2(405nm))
露光後加熱 なし

結果はカタログをご覧下さい。

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使用例3チオール-エン反応とゾル-ゲル法を併用したUV硬化(有機無機ハイブリッド)

チオール-エン反応とゾル-ゲル法を組み合わせたUV硬化のプロセスを示す図

条件

配合 WPBG-266 15部、ケトプロフェン 5部、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン 196部、水 27部を混合後、均一になるまで室温で攪拌します。2,4,6-トリス(アリルオキシ)-1,3,5-トリアジン 83部、重合禁止剤Q-1301(和光純薬工業株式会社製)0.3部を混合します。
製膜 バーコート後、80℃/1分プレベーク
膜厚 約10~20μm
露光 N2気流下、30秒照射(面照度 5mW/cm2(254nm)、100mW/cm2(365nm)、261mW/cm2(405nm))
露光後加熱 なし

結果はカタログをご覧下さい。

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参考文献

K. Arimitsu, A. Kushima, et al., Polymer Preprints, Japan, 2005, 54, 1357.
K. Arimitsu, A. Kushima, R. Endo, J. Photopolym. Sci. Technol., 2009, 22, 663.
K. Arimitsu, R. Endo., Chem. Mater. 2013, 25, 4461-4463.
有光晃ニ,有機合成化学協会誌 2012, 70, 508.