高分子関連材料

カチオン開始剤の反応・応用例

酸を用いた重合反応

カチオン重合 (連鎖重合)

[エポキシド、オキセタンの開環重合]

エポキシドとオキセタンの開環重合のメカニズム

[ビニルエーテルの付加重合]

ビニルエーテルの付加重合の仕組み

ビニルエーテルは高い反応性を示すため、CF3 SO3 Hなどでも重合開始可能です。
(ヨードニウムの場合、硬化時の発熱が大きく、黄変しやすい傾向があります)

重縮合 (逐次重合)

[アルコキシシランのゾル-ゲル法]

アルコキシシランのゾルゲル機構

[ヒドロキシメチル基の重縮合]

ヒドロキシメチル基の重縮合のメカニズム

代表的な酸の強度と用途

代表的な酸の強度と用途一覧表

※ 着色部分は、強酸によって硬化反応が進行するものです。

アニオンの違いによるエポキシ硬化性能の違い

エポキシ硬化性能の違いを示すグラフ

[配合比]
脂環式エポキシCEL2021P / WPI-No.= 100 / 2

[面照度]
254nm : 5 mW/cm2
365nm : 100 mW/cm2
405nm : 217 mW/cm2

室温/ 60秒放置、鉛筆硬度H以上になるまでの露光時間を測定

ヨードニウムは様々な増感剤が使用可能

オニウム塩の中でもヨードニウムは電子受容性が高く、増感効果が得やすいとされています。

ヨードニウム > スルホニウム > アンモニウム

長波長に吸収を有する増感剤を用いれば、紫外光~可視光領域(近赤外)照射でヨードニウムを感光させて酸を発生することが可能です。単独の光照射ではラジカルを発生しないような多環芳香族、複素環、色素、金属錯体などが使用できます。

詳細はカタログをご覧下さい。

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ヨードニウムvsスルホニウム感光性能比較

カンファーキノンを増感剤に用いて300nm以下をカットした光源で、エポキシのカチオン重合をおこなうと、ヨードニウムのみ重合が進行します。

カンファーキノンを増感剤として使用したエポキシのカチオン重合の図
イメージ

J. V. Crivello. M. Sangermano, J. Polym. Sci., Part A, Polym. Chem ., 2001 , 39 , 343-356

ヨードニウムの分解を促進して重合を加速する化合物

① 3,4-ジメトキシベンジルアルコール

② ビニルエーテル

③ N-ビニルカルバゾール

詳細はカタログをご覧下さい。

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酸化防止剤で、組成物の保存安定性を向上

カチオン重合のモノマーはエーテル化合物であるため、空気中で酸化され過酸化物を生成します。過酸化物は不安定でありラジカル的に分解しますが、ヨードニウムは、ラジカルを受け取りやすく反応性が高いとされています。BHT(dibutylhydroxytoluene)などのラジカル重合禁止剤を添加すると保存安定性が向上することが知られております。

2官能オキセタン WPI-166 BHT 60℃保管
100 5 1日でゲル化
100 2 01 4日ゲル化せず

小池信明「光応用技術・材料辞典」P.167 (2006)