2025年10月28日

末端にカチオン性基を導入するアゾ開始剤 ADIPとADIP-Clのリリース

この度、ポリマー末端にカチオン性基を導入する低温型の水系アゾ重合開始剤「ADIP」と「ADIP-Cl」をリリースしました。

アゾ重合開始剤の分解シミュレーションツールを公開中

ADIPとADIP-Clは、ポリマー末端にカチオン性部位を導入することで、抗菌性・吸着性・水分散性の付与が期待できます。カウンターアニオンは2種類用意しており、ADIPはトリフラート、ADIP-Clは塩化物です。

ADIPとADIP-Clの構造

※ADIP、ADIP-Clはキリンホールディングス株式会社等で開発されたアゾ重合開始剤であり、富士フイルム和光純薬株式会社が特許実施許諾を受けて販売するものです。

特長

① 抗菌性の付与

ADIPを用いることでポリマー末端へのカチオン性基の導入が可能であり、ポリマーへの抗菌性の付与が期待されます。[1]

スチレンモノマーとADIPによって合成されたポリマーは抗菌性が期待できる

② カチオン性エマルジョンの合成

ADIPを乳化重合に用いることで、カチオン性を有する高分子微粒子が合成できます。[2][3] 合成された微粒子は、カチオン性を有するため生体など負電荷を帯びた表面に強い吸着性を示すことが期待されます。

ADIPを乳化重合の開始剤として用いた場合、合成されたポリマー微粒子は細胞などへの吸着性が期待できる

[1] A. Jitsuhiro, T. Maeda, A. Ogawa, S. Yamada, Y. Konoeda, H. Maruyama, F. Endo, M. Kitagawa, K. Tanimoto, A. Hotta, T. Tsuji, ACS Omega. 2024, 9, 9803
[2] K. Suga, M. Murakami, S. Nakayama, K. Watanabe, S. Yamada, T. Tsuji, D. Nagao, ACS Appl. Bio Mater. 2022, 5, 2202
[3] T. Yamazaki, A. Ogawa, H. Koizumi, T. Tsuji, Colloids Surf. A. 2021, 609, 125614.