2020年3月7日

リチウムイオン電池添加剤(WEAシリーズ)

リチウムイオン二次電池は携帯電話などを中心として使用されています。さらに、今後は環境エネルギーの問題を解決するキーデバイスとして自動車、大型蓄電池への適用が期待されています。これを実現するために電極と電解液の界面を制御する技術が求められています。当社では電解液に少量添加することで電極と電解液の界面に被膜を形成させ、安定した充放電を可能にする材料を開発しました。

リチウムイオン二次電池の性能改善

リチウムイオン二次電池は充放電サイクルを繰り返すことにより正極または負極表面で電解液が分解し、容量が徐々に低下することが知られています。一方、種々の有機化合物などの添加剤を添加することで電解液の分解を抑制する試みがなされています。特に初期の充放電で負極上に安定被膜を形成し、溶媒の還元分解を抑制する添加剤が望まれています。

リチウムイオン二次電池添加剤の特徴

・還元分解して電極と電解液の界面に安定した被膜を形成します。
・形成した被膜により電解液の分解を抑制して安定した充放電が可能となります。
・形成した被膜をスムーズにリチウムが移動することで、高速の充放電が可能になります。

添加剤の効果

図1. 充放電サイクル試験

横軸が充放電のサイクル後、縦軸が放電容量になります。添加剤がないとサイクルに伴い電池の容量が低下します。これに対し、WEAシリーズは、VC(ビニレンカーボネート:一般的な添加剤)の1/10の添加量(0.1%)で初期の容量が向上すると共にサイクルによる容量低下が少なくなります。WEAシリーズは容易に還元分解するように設計されていることから、電極表面に被膜が形成されたことにより特性が向上したと考察しています。